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イシュードリブンの威力と限界②:60点と120点

前回に引き続き、イシュードリブンという考え方の使いどころについて述べたい。

戦略ファームへの幻想

コンサルタントという人種に対して不信感を持っているクライアントは珍しくないが、逆に過度な幻想を抱いているクライアントも少なくない。

ありがちなのは、自分たちの事業分野において目指すべき方向性について80点くらいの答えは既に持っているが、戦略ファームに聞けば自分たちの知らない最先端ベストプラクティスや目から鱗が落ちるような画期的戦略など、120点の答えが出てくると期待しているケースである。

このようなゴール設定で戦略ファームを起用してしまうと、まずもって十分な費用対効果が得られない場合が多い。

10点を60点に持っていく力

戦略ファーム、そしてその思考回路の肝であるイシュードリブンが真価を発揮するのは、「普通に頑張っても0〜10点くらいの答えしか出ない難問に対して、短期間で60点の答えを捻り出したい」というシチュエーションである。

これは具体的には新規事業領域の戦略立案(未知の領域について進むべき方向性を定める)、M&Aにおけるデューデリジェンス(買収対象=他社について将来見通しを立てる)などが典型例となる。

こういったシチュエーションにおいては、私自身イシュードリブンの徒弟修行を一通りはくぐってきた者として、「門外」の人には辿り着けないクオリティ・スピードの答えをほぼ百発百中で出せるという感覚を持っている。

GoogleもPythonもビザスクもある現代において、ビジネスの世界において本当の意味で「解けない問い」はきわめて少ない(ただし前回の記事の通り、「解ける」と「できる」は全く別次元である)。一見して難問のように見える状況は、実際には「何を解けばいいのか分からない」場合であることが大半だ。つまり、このようなシチュエーションこそまさにイシュードリブンの格好のターゲットなのである。

一方、その道何年のプロたちが集まって既に80点の答えが見えているところに、よそ者のコンサルがノコノコやってきて120点の答えを出せるというマジカルな現象はほとんど起こらない(イシュードリブンはそういう性格のツールではない)。そこで大きなインパクトをもたらせるとすれば、それは「答え」ではなく「成果」の次元、つまり綺麗な戦略を追い求めるよりも実行面を徹底的にやり切りましょうという方向性だ。

ここの部分はクライアントのみならず、意外とコンサルタント側も勘違いしているケースがあるので驕ることのないよう気をつけたいところである(自戒も込めて)。